コラム

心理学と脳科学の観点から読み解く!「コンビニ人間」から読み解く生きづらさの正体とは?

 

今回は第155回の芥川賞受賞作の「コンビニ人間」を心理的な考察を交えながら、レビューをして行きたいと思います。

 

36歳未婚女性。小倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビののバイトは18年目。これまで彼氏なし。

日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。

ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが・・・



1.普通とは何か〜脳科学の視点から読み解く〜

 

コンビニ店員として生まれる前のことは、どこかおぼろげで、鮮明には思いだせない。

郊外の住宅地で育った私は、普通の家に生まれ、普通に愛されて育った。けれど、私はすっこし奇妙がられる子供だった。ーコンビニ人間ー

 

主人公は、小鳥の死骸を見て、焼き鳥にして食べようと行ったり、友達のケンカを止めてと言われてスコップで殴りかかったり、非常に合理的な思考の持ち主で、他人の感情がわからない性格の持ち主でした。

 

そして、自分の何が悪かったのかやどうすればよかったのかを誰にも教えてもらえないまま、どんどん大人になっていきます。

 

その姿を見た家族は「どうすれば『治る』のかしらね」と主人公を変えようとします。けれども、自分のどこに欠点があるかがわからずに、自分の生き方を否定され、「誰にも認めてもらえない」という孤独や寂しさを抱えて過ごしてきたのだと思います。

 

では、ここで「普通」とは何かを脳科学の視点から見ていきましょう。

 

私たち人間は群れの生き物だといわれています。群れで生き残るためには、自分の利益、自分の勝利だけを優先している人を見て、種が脅かされてしまうという危機感を感じて、普通と違う人を一斉に攻撃をしようとします。

 

これは前頭前野の一部で、「社会脳」と呼ばれる一群の領域のひとつで、他者への配慮や共感性、利他的行動をコントロールする役割の部分が働くのです。

 

つまり、自分が生き延びるためには個人の利益や都合を優先するよりは、他者や全体の利益を優先するようにした遺伝子が引き継がれているのです。

 

だからこそ、普通とは違う主人公を変えようとするけれど、どう変えたらいいかがわからずに、ますます無力感を抱えてしまうのです。



2.生きづらさの正体とは?〜心理学の視点から読み解く〜

 

大学生の頃に、「コンビニ店員」として活動していきます。そこでは、マニュアルが存在していて、コンビニ店員という役割を演じることによって、社会の一部になることができます。

 

そして、36歳になった今、結婚しないこと、コンビニ店員でずっと仕事をしていることに、周囲の人たちが違和感を覚えます。

 

どうやら、私たちは「結婚できない」「正社員ではない」ということに非常に抵抗感を覚えるようです。

 

思えば、結婚できないことで、自分が劣っているのではないかという社会のなかで過ごしています。

 

幼少期から、「正社員として働き、2〜3年経った後に、結婚する」というロールモデルを過ごしながら、生きている人も多いのではないでしょうか。

 

そして、結婚を考える年頃になった時に、「どうして結婚したいのか」わからないまま、なんとなく婚活を始め、結婚するという人もいると思います。

 

私たちは、無意識のうちに生き方を決めて、それに従い行動します。

 

これを心理学では「人生脚本」と言います。

 

これは主に親からのメッセージが強いのですが「将来は結婚してね」「正社員として働くのが当たり前」という無意識のメッセージや周りとの基準のなかで、自分の人生を作っていくのです。

 

しかし、この主人公はそういった親からのメッセージを理解できずに、普通の人として生きられないことによる劣等感や無力感に苛まれながら、生きづらさを感じているのだと感じます。



3.自分らしい生き方とは

では、この主人公はどうしたら幸せになれるでしょうか?

周りと同じような人生を生きるために、就職活動をしたり、結婚をしようとするけれども、最終的には「コンビニ店員」としての生き方を選びます。

けれども、この主人公が「コンビニ店員」としての生き方や人生に誇りを持って過ごしているのであれば、その生き方はとても幸せで、自分らしい生き方といえます。

先ほどもお話をしましたが、私たちは無意識に自分で描いたシナリオ通りの人生を過ごしています。

それは幼少期や周りからの影響が大きいのですが、もし、自分らしい人生を歩もうと決めたら、自分で物事を決定し、幸せになる、と決めて行動することが自分らしい生き方を送る上で必要なものです。

そして、自分はどう生きたいかを探求するうえでも、普通とはなんだろうということを考えたり、どう生きるかを紙に書くこともひとつです。

自分がより豊かな人生を送るためにも「コンビニ店員」の本を手にとって、みてはいかがでしょうか。

 



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